「気持ち悪い!」

「○○さんは、気持ちが悪い」「うっとうしいから挨拶しても無視している」

 ある人の口から出てきた言葉。
 水野は、その時、「ちょっと待って!」と言おうとして僕を見たと言う。
 僕は、その場の流れの中で、その言葉を「聞き流した」

 帰りの車の中、

「私は、『今の気持ち悪いという言葉、取り消してください』と言いたくてたまらなかった」
「でも、口を挟んでいいものか悪いものなのか、わからず黙ってしまった」
「悔しくてたまらない」
「私たちは、きちんと言うべきではなかったのか?」

 そう水野は言った。

 勿論、その場の雰囲気もあり、やりとりをしている僕の様子もわかっていたので、僕を責めるというのではなく、「きちんと言えなかった自分」への悔しさと、その言葉の根底にある、障害者への差別、偏見が悲しく、つらくてたまらなかったのだ。

 それなりの立場もあり、他への影響力もある人だからこそ、余計に許せない言葉。

 僕の息子も随分と色々な言葉を浴びせらてきた。

 …愚図! じゃま! あっちいけ! 殺すぞ!

 そうした言葉をただ浴びせられるだけで、どうすることもできなかった息子

 浴びせた側は、その言葉がどれだけ人の心をずたずたにしているのかなど、考えもしない。

 確かに、息子は周りの人の手助けを多く必要とするし、決して気が利くわけでもない。
 人のために何かをしようという思いがあって何かしても、それがまた、人に迷惑となることのほうが多い。

 だから、親は「申し訳ない」と周りに頭をさげる。
 親だって、これだけ大変な思いをしているのに、よく一緒につきあってくれている。
 何を言われても、頭をさげることしかできない親。

「気持ち悪い」…その一言に対し、その場で冷静に対応する術など僕にはなく、「流す」ことしかできなkった。

 結局、僕は言葉を飲み込んだまま、水野も一言も発することなくその場は終わった。 

 ……心が折れる。
 今までのつらい思いや、悲しかったことが、一気に押し寄せてくる。
 たまらなくつらくなり、何もかも放り出してしまいたくなる…。

「気持ち悪い!」” に対して2件のコメントがあります。

  1. アッシュ より:

    ご無沙汰しております。
    昨年の県ジョブ&職場適応援助者養成研修ではお世話になりました。
    以前からブログのファンで、ちょくちょくお邪魔させて頂いておりますが、今回初めてコメントさせて頂きます。
    本当ですね・・・。
    ・・・・心が折れてくじけそうになります。
    それも何度も何度も、終わり無く繰り返されます。
    障がいを持つ我が子の事を思うと、他人の心無い言葉に酷く傷つきます。
    福祉の世界なら理解してくれるかと思い飛び込みましたが、理想と現実のギャップがでかすぎです。
    その立場にたった者にしか気持ちはわかりません。
    自分の子供にされて嫌な事は他人にしない。
    なぜできないんでしょうか?
    なぜ相手の立場に立ち考えられないのでしょうか?
    みんなが他人を思いやり、少しでも人の気持ちに寄り添う事ができたら・・・と夢と希望を持ち続け・・・
    ジェームス三木さんの言葉で、私の尊敬する人の座右の銘でもありますが、
    「夢を果たすまで一歩も退くな!
    負けたと思うまで人間は負けない!」
    私はまだ負けない。親である私がくじけたら誰がやるんだ?誰もやってくれない。
    先日もくじけそうになりその方にお会いしてきました。
    パワーを分けていただきました。
    世の中、まだまだ捨てたもんじゃない。
    フォローアップ研修迷っていましたが是非とも参加させて頂きます。
    また宜しくお願い致します。

  2. おさむ より:

     コメントありがとうございます。
     なかなか返事が書けなくて。
     時々、感情の流に身を委ねることも必要なのかな?などと思ってしまいます。
     ただ、感情を爆発させても、あまり良い結果は出ないと言うことも。
    「怒りは理性的なものでなければ、ホンモノにはなっていかない」
     その言葉の意味、重さを思います。
     また、ゆっくりとお話ししたいです。

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