ジョブコーチを仕事とする

 2019年も終わろうとしています。
 今年一年、何度も「ジョブコーチ」のあり方・存在意義を考え直す場面に直面しました。
 それはとりもなおさず、私たちの法人としてのあり方への自らの問い返しの一年でもありました。
 2006年4月の法人時の4つの柱の一つに「ジョブコーチ支援は本人・事業主・家族の支援が大きな柱です。そのためには、ニュートラルな存在であり続けることが重要であり、施設、事業所、行政機関等から独立した存在であり続けることが必要と考えます。」と「ジョブコーチの自立・独立」をうたってきました。
 以来、中立性を保つために「利用者をもたない」こと、そしてジョブコーチとしての「精神的な自立」と「経済的な自立」を目指して今までやってきました。

 ジョブコーチ、ジョブコーディネーター、○○ジョブコーチ、職場適応援助者、職場適応支援者……、実に似たような名称が生まれ、何が何だか? 状態になってしまっている今日この頃です。
 何がどう違うのか、私にも簡単には説明ができませんし、説明し出すと聞いている方が嫌になってしまうのではないかと思います。
 私たち、訪問型職場適応援助者(ジョブコーチ)を仕事としている者にしてみると、次第にその存在意義が失われていくような、そんな危機感すら感じます。

 ジョブコーチとして雇用現場に求められるスキルは、とても高いものがあります。
 私自身、かつて私立高校の教師として20年近く様々な経験を積んできましたが、ジョブコーチとして現場にたち始めたとき、求められるスキルは「教師の時の比ではない」というのが直感的に感じたことでした。
 その感覚は鮮明に覚えていますし、未だにその感覚は間違っていなかったと強く思います。
 逆に、教員時代の給与とジョブコーチの時給単価の落差にもまた愕然としました。とても生活が成り立つものではなく、わずかながらの「謝金」がすべてでした。今でも基本的には変わっていないと思います。

「ジョブコーチの仕事をする」ということと「ジョブコーチを仕事とする」
 この二つは、助詞二文字の違いですが、とても大きな違いがあります。
 以来、ジョブコーチとしての経済的な自立が重要であるという思いは根底に流れています。そして、ジョブコーチが一つの職域にまでなっていくことが重要なことだと。
 勿論、そのためにはとても多くの課題と、それらを乗り越えていく意志がなければなりませんが……。

 雇用現場に直接関わり、本人、環境への調整を行っていくというこのジョブコーチという仕事は、もっとしっかりとした形としていかなければいけないと思います。
 2006年から2019年12月末まで、250のケースにジョブコーチ支援で関わってきましたが、特にこの10年の雇用現場の様変わりはとても大きく、これまでのジョブコーチ支援というものを整理し直さなければいけないと痛感します。
 振り返りをしっかりと行い、整理し言語化していくことは、ジョブコーチを仕事としてこれまでやってきた私たち法人としてしなければならない事だと思います。
 そして、少しでも次のジョブコーチのあり方を発信していけるようにしなければと……。

 2019年もあと少しで終わります。
 今年一年、また、新しい出会いがたくさんありました。
 私たちに関わっていただけたすべての人にお礼申し上げます。
 2019年12月31日

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