『流れの中で』

 教師をやめ女房の扶養家族になったのが10年以上も前のことになった。以来、仕事も肩書きも何もなくなり「○○君のお父さん」と呼ばれる日々が続いた。それまで、自分の中にあった、確実な時間や季節の移り変わりも、いつのまにか失っていったような感じを覚えていた。

 そして、再び「障害者の就労」をキーワードに社会と関わるようになり、打って変わった日々を送るようになった。そう、かつて学校設立のために飛び回っていた日々のように。

 今年はどこまできたんんだろう? そして、来年はどこまでいこうとするのだろう?
 そんなことをしっかりと刻んでおかなければ、と強く思うようになった。
 そんなとき、この間引っ張り出したノートの中から宮沢章二の詩が目に入ってきた。

 『流れの中で』

            宮沢 章二

聞けるときに 聞いておかないと
決して聞けないコトバがある
言えるときに 言っておかないと
再び言えないコトバがある

 つかめるときに つかんでおかないと
 死ぬまで無縁の宝がある
 みがけるときに みがいておかないと
 光らぬまま朽ちていく 宝がある

得たものを失う その数よりも
得られずに失われたものの 数の多さ
わずかの知恵と わずかの努力が
それに触れ得たかもしれないのに……

 いよいよ後数時間で2008年もおしまい。

 色々あるけれど、とにもかくにも新しい年が始まります!

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