トライアルの終了

「今日は忙しい中、ありがとうございました。○○で働き続けることができてとても嬉しいです。涙が出そうでした。それと代わりにやる気も出ました」

 先週の木曜日、トライアル雇用終了を目前にしての会合でのこと。
 社長さんの口から、「トライアル雇用が終わっても、引き続き頑張って働いて欲しいと思います」という言葉が出たとき、Aさんの顔がクシャっとなった。涙をこらえているのが一目でわかった。

 先週一週間、自分のこれからがどうなるか心配でAさんからのメールと電話が朝早くから、夜遅くまで、何回もくるようになった。
 そのたびに「心配だったら、社長さんに聞いて下さい」
 と繰り返してきた。その度Aさんは、「何度も聞いてしつこいと思われたらイヤだから」と答えた。
 その度に、「僕がこの先の事を決める事はできませんから」と。

 人間関係がなかなか上手くいかず、夜ひとりでいると色々な事が心配になり、心配は不安を呼び、アチコチに電話をしたり…。とそんなことを繰り返してきた。
 ショートメールでやりとりをするようになった。
 メールの返事がないと、それまた不安になってくる。
 それでも、「読んでいるから。すぐに返事はできなくても、必ず読んでいるから」と繰り返し伝えた。
 時には、同じ事を何度も繰り返してくる場合は、「以前、なんて送った? 自分の書いたこと、読み返して下さい」等々…。

 トライアル雇用の間も、2回、大きなトラブルがあった。
 それでも、何とか乗り越えてきた。
 そして移行支援期に入り、1、2週間に1回というようにグッと回数を減らしていった。
「何か心配なことがあったら、会社の人に相談すること。それができるようになることが大事」と何度言っても、不安は不安。

 以前の職場を退職して半年。
 何とか働きたい! という思いが強く伝わってくる。
 自分でお金をかせぎたい!その思いがAさんを支える。
 その気持ちがわかるだけに、何とか踏ん張れるだろう、踏ん張れなければ前の職場と同じことになるだろう、というこちらの思い。

 最後の1週間は、自分の気持ちとの戦いだったんだろうなぁ、と。

 

 Aさんのクシャクシャの顔が忘れられない。
 ホントに良かった…。
 と同時に、これからが始まりだと…。

 

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